コラム

シンポジウム「Huge Possibility but Small Scale in HIRAKATA」

名古屋大学大学院国際開発研究科 特任助教
オリフィレンコ アラ

2024年2月16日、私はH2ガバナンスプロジェクトのグループ4(気候変動と企業経営)および5(気候変動関連技術とCC(U)S)のリーダーである在間教授と町田准教授に同行し、株式会社福井製作所様(大阪府枚方市)が主催するシンポジウム「Huge Possibility but Small Scale in HIRAKATA」に参加する機会を得ました(写真1~2)。

写真1(Photo 1)
写真1(Photo 1)
写真2(Photo 2)
写真2(Photo 2)

シンポジウムでは、福井製作所様の製造施設の見学と、RITE(地球環境産業技術研究機構)様、田中環境エネルギー事務所様、H2ガバナンスプロジェクトのメンバーによるプレゼンテーションが行われました。

議論の中心になったのは、CC(U)Sである二酸化炭素の回収、(利用)、貯留の過程です。CC(U)Sは特に発電、化学、鉄鋼、セメント製造などの二酸化炭素の排出抑止が困難な分野で、温室効果ガスを削減する手段の一つとして人気を博している技術です。

CCS/CCUでは、火力発電所や工業施設などの排出源から二酸化炭素を回収し、陸地や海洋の地中貯留や原料として利用するためにパイプライン、船舶、トラックなどを通じて輸送することを含みます。これらの技術を通じて二酸化炭素は大気中に排出されなくなるか、または工業製品の原料などとしてさまざまな方法で利用・再利用できます。

米国、オーストラリア、中国、ノルウェー、英国などの多くの国々では、既に稼働中または建設中のCCSプロジェクトがあり、それらの商業化のための専門的な立法を採用しています。日本では、ほとんどの国と同様に、この点で立法上のギャップがあります。CCUプロジェクトは二酸化炭素を利用した合成燃料の生産など競争力のある技術を試みながら、まだ開発段階にあります。私の母国ウクライナは、そのCOP28報告書で示されているように、最近になってようやく、CCSをその脱炭素化努力目標の可能な要素として検討し始めました。

エネルギー供給チェーンで使用される安全弁の製造業者を実際に見学することで、認証がどれだけ簡単であっても、法的基準がどれだけ厳格であっても、新しいプロセスに適さない部品の使用によって運搬タンクが爆発の危険にさらされるなら、すべてが無駄になることを実感しました。

安全弁は、過剰な圧力による機械的損傷を防ぐために、液体または気体を貯蔵または輸送するシステムに取り付けられた装置です。液体から気体状態に移行すると、物質が膨張し、容器内の圧力が上昇します。安全弁は余分な物質を放出し、適切な圧力が回復すると閉じます。

写真3(Photo 3) レゴの安全弁?!
写真3(Photo 3) レゴの安全弁?!

このような弁は工業環境で広く使用されていますが、エネルギー源の取り扱いには特に重要です。これにはしばしば極端な温度と圧力が伴います。ただし、これは脱炭素化が完全に依存する世界的な供給およびバリューチェーンの無数の要素の1つに過ぎません。

この認識から、カーボンニュートラルを実現するための唯一の鍵は存在しないということを再認識しました。このような複雑な問題に対処するには、市場の大手、中堅、中小企業の調和のとれた意識的な協力が必要です。すべての企業とそのメンバーは、環境に対する意識を持ち、協力する意思がなければなりません。

福井製作所様については、この会社がネットゼロの達成に貢献するための環境意識と技術的能力を持っていることは疑いの余地がなく、同社は現在、液化天然ガス(LNG)運搬船市場で世界最大のシェアを保持しており、2036年までにメタネーション、バイオマス、アンモニア燃料、そしてもちろん、CC(U)Sおよび水素を含むカーボンニュートラル社会のエネルギービジネス領域の中心にいる(FUKUI VISION 2036)ことを目指しておられるということです。この新しい領域で先駆的な役割を果たすための大変な熱意に驚嘆し、また、安堵の思いがしました。

エネルギーの安全保障と気候変動との闘いが、経済を超えた人類の生存の問題でもある時代に、多くの企業がこの要請に応じる必要性を認識し、規制を待つことなくビジネスプラクティスを変革するために主導権を持つことを願います。

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